創基80周年に寄せて
昨年秋、プロバスケットボールチームであるBリーグ西宮ストークスへ入団した卒業生を激励しようと懸垂幕を掲げました。そしてある日の出張先から学校への帰途、近所のご夫婦とお見受けする二人連れが懸垂幕を見て、笑顔で話題にしておられるのを耳にして嬉しく思いました。
他日、ある先生から懸垂幕の表記には少し違和感があるように伺いました。「平成26年卒・66回生」とあるけれど、彼は国際科の生徒なので11期生の方がしっくりくると。
2019(平成31)年2月28日付、第201号の葺高新聞に「71回生(国際科16期生)の皆さんご卒業おめでとうございます。」と書き始めたのですが、先の言葉は現在の葺合高校の雰囲気をよく表していると思います。2014(平成26)年4月からの5年間にわたる文部科学省事業であるSGH(スーパー・グローバル・ハイスクール)への取り組みの中、国際科生徒・教員のファミリー意識は見事に結実し、素晴らしい成果をあげたのです。さらに、国際科設置前の英語科の存在を忘れることはできません。多くの諸先輩の積み上げてこられた軌跡が現在の成果に繋がっています。
1952(昭和27)年2月27日付発行の葺合高校新聞21号には以下の記載があります。「本3月27日をもって今年度の3学年の諸兄諸姉は葺合高等学校の第1回卒業生として巣立たれることとなった。今年度の卒業生は、新学制の実施による学区制の規定の為にあちこちの学校から併合され~後略~」
1939(昭和14)年2月28日、(旧制)神戸市立神戸中学校設置認可がなされ、神戸市葺合区野崎通1丁目に設置、4月1日の開校以来、戦争や戦後学校制度の変更、学生紛争、校舎建て替えにかかる校地問題など多難な時代を経るなかで、多くの方々の存在と関わりがあって現在の葺合高校があります。
2019(令和元)年5月からは文部科学省事業であるWWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業において、全国10校(国立2校,公立5校,私立3校)に選ばれ、拠点校としてますます充実した学び舎となることを確信しています。
神戸市立高校は市民のニーズに応えるべく、すべての学校が統廃合を繰り返してきました。それ故に、旧制神戸市立神戸中学校を基点として80年にあたる本年、2019(令和元)年を創基80周年という言葉で祝わせていただきたく存じます。
卒業生と在校生の繋がり、その繋がりは「葺合高等学校」で多くの人びとが日々を重ねてきた、支え合い分かち合ってきた見えない無数の事実の集合体に由来します。それを人は我が母校と呼ぶのでしょう。
新しい校舎に建て変わり全てがかつてと変わってしまった風景、それでも坂を登ってくる道のりは変わっていません。昔からのなじみのなつかしい先生のお顔にも出会えなくなった方々もいらっしゃいます。それでも、自分は葺合高等学校の卒業生だ、生徒保護者だ、教員だという思いが繋がり続けます。
今後とも母校に対するいっそうのご支援ご協力をお願いするとともに、筒台会のますますの発展を祈念いたしております。
第23代校長 新井 厚也